通関士試験は独学で合格できるのか

 通関士試験は独学でも十分合格できます。合格できるばかりか、資格試験の中では、独学で勉強しやすいほうの試験だと思います。勉強しやすさのポイントには次のものが挙げられます。

  • 正解がはっきりしており、自己採点しやすく「なぜこれが正解なのか」が理解しやすい
  • 出題内容が過去の傾向から大きく逸脱する事がない
  • 受験者がそれなりに多く、独学用の教材が手に入りやすい
難易度はそれなりに高く、実務の経験が無いと理解しづらい部分が多い試験だと思います。しかしその点は、スクール等に通って勉強するのか、独学で勉強するのかで違いがあるわけではありません。

通関士試験は基本的に各問題の正解が1通りに限られています。稀に出題ミスによって複数の種類の正解が存在するケースがありますが、ほとんどが偶然の事故による場合です。正解に多様性を認めるような試験ではありませんし、採点者の裁量や判断で加点や減点が決まるような試験でもありません。

ですから例えば何かの実技試験のように、講師から実地指導や添削指導を受ける事が効果的だという試験とは事情が異なっています。スクール等で授業を受けても、自宅で独学をしているのと学習する内容自体はそう大差のないものです。少々乱暴に言えば、世の中によくある通関士試験向けの教科書に書いてある事を勉強するだけです。何が大きく違うのかと言えば、学習するロケーションが違うとか、耳で聴く事が中心か目で読む事が中心か、という様な、そんな次元です。

このように、スクール等で授業を受けた人だけが特に有利になれるような要素があるという話ではありませんので、独学で準備をしてチャレンジする受験者も、本番の試験ではスクール等で勉強をしてきた受験者と十分互角に勝負できます。

また、通関士試験は、資格試験の中ではだいぶ安上がりな試験です。まず受験料が他の試験に較べて安いです。本番の試験で使う道具は、筆記用具と電卓だけです。学習をするにも、少しの教材しか必要としません。過去問題の解説集とテキスト1冊があれば最低限合格レベルに達する程度の勉強が可能です。そこにさらに古い年度の過去問題の解説を買い足せば、多くの過去問題を解いて充実したボリュームの練習ができます。実務未経験の人ならば、通関実務に関するちょっとした読み物を買って読めば、教科書に書いてある事をだいぶ消化吸収しやすくなります。その程度の事をするだけで、贅沢なほどの環境が整います。

ただし、インターネット回線とパソコン又はスマートフォンは効率のよい学習のためには別途必要です。と言うよりも、もはや欠かせないものです。しかし、これはわざわざ試験の為に準備しなくてもほどんどの人がはじめから持っていると思います。

もしもスクールに通うのならば、数万円~数十万円程度掛かりますが、独学するのであればその費用がまるごと掛からずに済みますので、独学で勉強する事には経済的に確実にメリットがあります。

受験に興味はあるけれど、受験勉強の方法として独学しか選択肢がないため、その点を不安に感じてチャレンジしようかどうか躊躇しているという人も居るかも知れません。しかし、独学だとそうでない受験者よりも不利だとか、合格しづらいとか、そういう事はありませんし、独学をすれば他の資格全体の中でかなり安上がりにチャレンジできる試験です。合否を分けるのは概ね合格に必要な準備をしたか、していないかというだけのシンプルな事です。迷うぐらい関心があるのならば、思い切って受験してみる事をおすすめします。

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