ノート作りはしない方がいい

日本の学校教育では、先生が黒板に書いたものを生徒がノートに書き写す、という授業が伝統的に行われてきました。なので、社会人になって資格試験の受験勉強をする場合にも、まずは新品のノートを用意して、そこに要点を書き込んで行く、という作業をしてしまう人が多い様です。

しかしそのようにノート作りをするという勉強の方法には実際的な効果が期待できず、ほとんどが時間の無駄になってしまうと考えられますので、やめておく事をお薦めします。

ノートをまとめている人のイラスト

日本の学校がその様にノートに書かせるような授業を行っている背景にはおそらく、

  • 手書きで書くという作業によって物事が記憶できると信じられている
  • 業務としての授業が実施された証拠をボリュームで示しやすい
  • 一発勝負の試験で点が取れない生徒にも、努力のプロセスを評価する部分を用意する

このような事があるのではないかと考えられます。

それに対して、資格試験というのはもっぱら本番のたった1回の試験の点数だけで合否が決まるものです。ですから、学校で良い成績を取るために有効だった行動が、点数のみで単純明快に合否が判定される資格試験の受験準備をするうえでは質的に相容れない部分も少なくありません。丁寧にノート作りをするというのも、そうした相容れないものの代表的なもののひとつです。

ですので、そもそもこのウェブサイトは独学をする人に向けたものですが、もしもスクール等で授業を受けるにしても、講師が説明した事を忘れないためにメモするのならば手書きで写すのでなく手早くカメラで撮影するようにして、講師の話をできる限り聴き逃さないように、聴く事に集中したほうが有意義でしょう。

黒板の内容をスマホで撮影する人のイラスト

通関士試験を含め、多くの資格試験では資料の持ち込みが許可されていませんので、せっかく時間をかけてノートを書き上げたとしても、それを使う機会は実際思い浮かびません。学習のために繰り返し読むツールという用途を仮定しても、内容的にはテキストとほとんど重複しているものですし、プロが編集して活字化したテキストの読みやすさに手書きのノートがとうてい敵うはずもありません。いわゆる、日本の多くの学校の授業で行われているようなノートを書く作業というのは、言ってしまえば貴重な時間を費やして、使うことのないテキストの劣化版を作成している事に過ぎません。

ただし、手を動かして字を書いたり図を描いたりする作業が全般的に無駄だという話ではありません。理解や記憶をサポートするために、関連するものを図や表で表したり、語呂合わせの文言を書いてみたりする事は大いに有効でしょう。しかしこれらはいずれも、いわゆるノート作りとは根本的に異質な作業です。

ではノート作りをしないのならば、どんな事に勉強時間を使うとよいのかというと、例えば次のような事です。

  • 過去問題や予想問題を繰り返し解いて、解き方を練習する
  • 業界や通関実務に関する解説本を読む
  • 語呂合わせを考える
  • 電卓操作のスピードトレーニングをする

特に過去問題や予想問題を解いて練習する事は重要です。「本番の試験で点が取れる様になるにはどうしたらよいか」という事からブレない様に、勉強内容を考えましょう。

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