実用新案権侵害の疑義貨物の取り扱い

令和4年 関税法等 第15問

選択肢3

税関長は、輸入されようとする貨物のうちに著作権を侵害する物品に該当する貨物があると思料する場合であっても、認定手続を経た後でなければ、当該貨物を没収して廃棄することができない。

選択肢4

輸入差止申立てが受理された実用新案権者は、その申立てに係る貨物について認定手続が執られている間であっても、税関長に対し、当該認定手続に係る疑義貨物について、当該実用新案権者がその見本の検査をすることを承認するよう申請することができない。

選択肢5

税関長は、輸入されようとする貨物が商標権を侵害する物品に該当するか否かについての認定手続を執る場合には、当該貨物に係る商標権者及び当該貨物を輸入しようとする者に対し、当該貨物について認定手続を執る旨並びに当該貨物が商標権を侵害する物品に該当する か否かについてこれらの者が証拠を提出し、及び意見を述べることができる旨を通知しなけ ればならない。


選択肢3→正しい 選択肢4→誤り 選択肢5→正しい

出題頻度が高い部分で、質問の仕方もストレートです。ぜひとも正解して得点源にできるように、きっちりマスターしておきたいタイプの出題です。選択肢3-5は密接な関連性がありますので、まとめて理解すると効率的です。
判断の根拠となる条文は、
  • 関税法69条の11(輸入してはならない貨物)
  • 関税法69条の12(輸入してはならない貨物に係る認定手続)
  • 関税法69条の16(申請者による疑義貨物に係る見本の検査)
です。
まず、選択肢3は著作権、選択肢4は実用新案権、選択肢5は商標権について書かれていますが、これらの認定手続に関しては関税法69条の12第1項と関税法69条の11第1項九号~十号で同じ枠組みで取り扱われています。
また、それぞれの選択肢の正誤については、条文をそのまま読むだけでスッキリと確認できます。

選択肢3

関税法69条の12第5項に書いてあります。「税関長は、認定手続を経た後でなければ、この章に定めるところに従い輸入されようとする貨物について前条第二項の措置をとることができない。」→前条二項とは、関税法69条の11第2項の「税関長は、前項第一号から第六号まで又は第九号から第十号までに掲げる貨物で輸入されようとするものを没収して廃棄し、又は当該貨物を輸入しようとする者にその積戻しを命ずることができる。」の事です。つまり、認定手続を経た後でなければ没収して廃棄をすることも積戻しを命じる事もできないという事です。

選択肢4

関税法69条の16第1項に書いてあります。「第六十九条の十三第一項(輸入してはならない貨物に係る申立て手続等)の規定による申立てが受理された特許権者、実用新案権者、意匠権者、商標権者、著作権者、著作隣接権者若しくは育成者権者又は不正競争差止請求権者は、当該申立てに係る貨物について認定手続が執られている間に限り、税関長に対し、当該認定手続に係る疑義貨物について、これらの者がその見本の検査をすることを承認するよう申請することができる。」という、この条文のメインテーマのようなもので、はっきり「できる」と言っています。

選択肢5

関税法69条の12第1項に書いてあります。「この場合において、税関長は、政令で定めるところにより、当該貨物に係る特許権者等(特許権者、実用新案権者、意匠権者、商標権者、著作権者、著作隣接権者、回路配置利用権者若しくは育成者権者又は不正競争差止請求権者(前条第一項第十号に掲げる貨物に係る同号に規定する行為による営業上の利益の侵害について不正競争防止法第三条第一項(差止請求権)の規定により停止又は予防を請求することができる者をいう。以下この款において同じ。)をいう。以下この条において同じ。)及び当該貨物を輸入しようとする者に対し、当該貨物について認定手続を執る旨並びに当該貨物が前条第一項第九号から第十号までに掲げる貨物に該当するか否かについてこれらの者が証拠を提出し、及び意見を述べることができる旨その他の政令で定める事項を通知しなければならない。」という事で、選択肢5はほぼこの部分の通りの事を言っています。



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