通関士試験合格に一歩近づく!おすすめの電卓

通関士試験の3科目のうち、午後の「通関書類の作成要領その他通関手続の実務(通関実務)」は、多くの受験生が最も難しいと感じている科目です。この科目の受験では電卓を使用できます。使用しない人はまず居ないと思いますが、電卓はどれも同じわけではなく、どのような電卓を使うかによって計算のスピードや正確性が確実に変わります。それは例えば自転車レースに出場する時に、高性能な自転車で出場する事と一緒です。受験に適した電卓を選ぶことは、性能の良い武器を使って戦う事に似ていて、戦況そのものが改善するような大きな効果があります。

電卓の強力さを表すイラスト

ただし使いやすい電卓ならばどんな電卓を使っても良いという訳ではなく、使用できる電卓には制限があります。公式の受験案内では、計算機能のみを有するものとしています。使用できないものの具体例として関数電卓等が示されています。

おすすめナンバーワンはこの電卓

それではどのような電卓が良いのか、というと、ちょうどおすすめのモデルがあります。それはカシオ製のJS-20DC-Nというこの製品です。

JS-20DCの製品画像


会計や税務のプロ向けに作られた、非常に高品質な電卓です。いわば「業務用」です。メーカーは「本格実務電卓」という呼び方をしています。よく似た機種にJS-20WKAという機種もありますが、日数計算が付いているか、検算機能が付いているかの違いがあります。個人的には日数計算がある方が少しだけ便利かと思います。ただ、そこまで重要な違いではないと思いますので、どちらを選んでも良いと思います。また、同じくカシオ製のJE-12D(人間工学電卓というシリーズ)もお薦めです。ただし、JE-12Dは右手での操作に最適化された設定なので、左手で操作する人には向きません。

CASIO(カシオ) 本格実務電卓 12桁 検算機能 ジャストタイプ シルバー JS-20WKA-SR-N
 




これらのおすすめの電卓は決して禁止されているような機能がついている訳ではなく、機能は一般的な電卓と同じです。それなのに使いやすさは一般的な電卓とは別次元といえるほど使いやすいものです。そもそもカシオの製品であるという事だけで、聞いたことも無いようなメーカーの安価な製品と比べると、ある程度品質が良いと言えるでしょう。しかしそういう話ではありません。同じカシオ製品の中で比較しても、本格実務電卓は別次元の使いやすさなのです。では一体どのような点が具体的に優れているのか、という事について詳しく解説して行きます。

キータッチのレスポンス


この本格実務電卓が他の一般的な電卓と決定的に違うのはどこかというと、キータッチのレスポンスの良さです。一般的な電卓とはおそらくキー部分の構造もパーツのクオリティも根本的に異なっている様です。急いでタイピングをしても著しくミスタイプしにくく、高速なタイピングにもしっかりついて来てくれます。


一般的な電卓を使用していてミスタイプしてしまう事が日常的によくあると思うのですが、実は、叩いているキーそのものは間違っていない場合がかなり多いのです。しかし、ちょっと弱くキーを叩いてしまったり、叩く角度がやや斜めからだったり、叩く位置が中心近くでなかったりすると、反応してくれずに数値が入力されないという現象が発生しがちです。キーの感度がそれほど良くないため、こういう現象が起こるのです。ところが本格実務電卓だと、ミスタイプにならずに、入力がちゃんと受け付けられる場合が圧倒的に多いです。それだけキーの感度が高いのです。それが計算ミスの少なさにも計算の速さにも直結します。初めてこの操作感を体験した人は、軽くびっくりするぐらいの違いがあります。

本格実務電卓以外の一般的な電卓の性能も、モデルチェンジのたびに少しずつ性能が向上してはいます。しかしこの最も決定的な違いであるキーレスポンスの違いについては、本格実務電卓とその他の電卓との差がずっと縮まっておらず、今後縮まって行きそうな気配もありません。おそらくキー部分の構造が根本的に違い、コストの掛かり方が全く違うのでしょう。それに、本格実務電卓が売れなくなってはメーカーも困る筈です。

私は通関士受験をする前から、もともと日常的に電卓の使用頻度が高かったため、電卓の計算のスピードには少し自信がありました。と言っても実際のところ、私自身の技術によるものなどほんの少しで、大部分は本格実務電卓を使っているおかげでミスタイプが発生しにくいだけの事だと自分なりに分析しています。私はだいぶ前からカシオの本格実務電卓のレスポンスの良さとミスタイプの発生しにくさには気づいていて、日頃から仕事の相棒としてこだわって愛用してきました。

そんな私は通関士試験の本番では制限時間ギリギリで回答を終え、点数も合格ラインギリギリでした。本格実務電卓以外の電卓を使っていたら、計算にもっと時間が掛かっていたでしょうから、不合格だった可能性は十分あっただろうと思っています。

メモリーキーは4つ

本格実務電卓のメモリーキーが4キー(MC,MR,M-,M+)である点もおすすめのポイントです。電卓にはMCとMRのキーが統合されてMRCというキーになっている3キーの製品もありますが、その使いやすさには雲泥の差があります。3キータイプはおそらくコストダウンのためにMCとMRを統合したのではないかと思いますが、それによって操作がシンプルになっているという事はなく、かえって融通が利かず、手間が増える仕様になっています。

メモリーキーの説明写真
4キータイプのメモリーキー

個人的には、メモリーキーがあったとしてもそれが3キーだと、使おうという気がしません。3キーメモリーの操作はそれぐらい厄介なものです。基本的に3キーメモリーと4キーメモリーとを比較したときに価格の安さ以外の点で3キーのほうが優れている点は何も無いと考えてよいでしょう。

4キーメモリーはそれよりも遥かに使いやすいもので、使い方をマスターすると通関士試験で役立つ場面が多く、計算のスピードアップとストレス軽減の効果が得られます。ぜひ4キーメモリーのタイプを選ぶのがおすすめです。

その他の長所


他には次のような長所があります。
  • カシオ製ならではの定数計算の入力のわかりやすさ
  • 摩耗に強い2色整形プラキー
  • 狭い試験会場で扱いやすい適度にコンパクトなサイズ
  • カラフルなキーのカラーリング
なお、カラーリングに関しては、特にこだわりが無いのでしたらシルバーが最もキーの配色がカラフルで視認性が高く、機能的にはベストだと思います。ただ、他のカラーが強く気に入っているのであれば、我慢せずにその気に入っているカラーを選ぶのが良いと思います。無理して気に入らないカラーのものを使うよりも、気に入ったものを使って精神的なコンディションが良くなったほうが、よりパフォーマンスの向上が見込めるのではないかと思います。
カラーバリエーションの説明画像
3色のカラーバリエーション

CASIO(カシオ) 本格実務電卓 12桁 検算機能 ジャストタイプ シルバー JS-20WKA-SR-N
 


この本格実務電卓、一般的な電卓と比べると価格がいくらか高いというのが唯一の短所と言えるかも知れません。しかし、安価な製品と比べたときの性能的な違いは圧倒的です。本格実務電卓の性能が気になりながらもちょっとした金額を惜しんで安価なほうの電卓を買ってしまうと、ずっと心のなかで引っ掛かって、結局本格実務電卓を書い直すという事になるのではないかと思います。
そして特に、カシオの電卓製品は耐久性があって長く使えます。さらに電卓は製品として既に成熟しており、スマートフォンのように1年や2年で性能や機能が陳腐化する事もなく、その点でも長く使えます。また、試験に合格してしまったとしても、その後も実務でも家庭でも色々と出番があります。元は十分取れますので、試験のコンディション整備のために、ぜひとも妥協せずに良いものを手に入れておく事をおすすめします。

買った電卓の使いこなし方

試験はアタマとカラダの両方を使うもの

通関実務の科目で合格点をクリアするには、アタマを使って思考する事ももちろん必須の要素ですが、電卓を叩いて計算をしたり、マークシートを塗りつぶしたりという、カラダを使ったフィジカルな作業も重要です。なかでも特に重要なのは電卓のスキルです。いくら大量の情報を暗記し、解法をマスターしたとしても、電卓の操作がモタモタとおぼつかないものであれば、そのせいで合格を逃す危険すらあります。反対に、電卓操作の正確性とスピードを十分向上させれば、考えるための時間をより多く捻出できますし、計算作業が得意になったという自信が冷静さを生み出してくれたり、色々と合格の可能性を高める事に作用します。

こうした部分は注目されにくく見逃されがちですが、試験時間がタイトなこの試験で合格を目指すならば、このように電卓のスキルに代表されるような、カラダを使う作業の部分の上達にもぜひとも取り組みましょう。

電卓のスキルの向上の具体的なポイントには、次のようなものあります。

  • ミスタイプを減らす
  • タイピングのスピードを上げる
  • ブラインドタッチを習得する
  • 視線の迷いを減らす
  • 定数計算を使いこなす
  • メモリーキーを使いこなす
では、それぞれのポイントについて順に見ていきましょう。

ミスタイプを減らす/タイピングのスピードを上げる

これは
  • 品質のよい電卓を使う
  • 電卓のタイピングを数多く練習する

こうした事によって習得できます。品質のよい電卓を使うというのは、もちろん上に書いたような電卓を使うことです。電卓のタイピングを数多く練習するというのは、身体的に慣れるように反復練習をするという事です。

ブラインドタッチを習得する

パソコンのブラインドタッチは有名ですが、ブラインドタッチは電卓にもあります。これをぜひ習得しましょう。
まずブラインドタッチには、右手を使う方法とと左手を使う方法があります。左手を使うというのは、右利きの人がペンを持ったままでいられる様に、左手で電卓を叩くものです。

しかしこれまで電卓のブラインドタッチに挑戦した事がなく、これから通関士試験に向けて初挑戦したいという人には、右手で電卓を叩く方法をお薦めします。それは次の理由によるものです。

  • 電卓は右手で操作しやすいように設計されたものだという説が有力
  • 近年の電卓日本一のチャンピオンは、ほとんどが右手で叩いている
  • テクノロジーの進歩で近い将来電卓を使わない世の中になるかも知れないのに、左手での操作のチャレンジは負荷が大き過ぎる

ただ、右手で操作するとなると、ペンはどうしたら良いのか、という事が気になると思います。電卓を使うたびにペンを置いたり拾ったりしていると時間のロスが大きいですので、基本的に、ペンは持ったままの状態でキーを叩きます。ペンを持ったままではどうしても叩きづらい、という人は、電卓を操作する時だけ下の図の様に少しだけ持ち替えて中指と薬指の間、あるいは薬指と小指の間に移動してみて下さい。キーは格段に叩きやすくなります。ペンを一旦置いたり拾ったりする場合に発生する時間のロスに比べれば、ペンをちょっと別の指の間に移動する時間など微々たるものです。

ペンの持ち替え方の例

指の割り当て方

上の通りに右手でシャープペンシルを持ちながら右手でブラインドタッチをする場合のキーの叩き方ですが、基本的に「このキーはこの指で叩く」という具合に、キーに指を割り当てる方法で行います。パソコンのブラインドタッチと同様の発想です。その割り当て方は下の図の様にするのが一般的です。自分なりに変更を加えても良いと思います。

右手ブラインドタッチの指のキーへの割当表


視線の迷いを減らす

電卓での計算と数字の書込が終わったあと、再び問題文の続きを読みたい場合に、「あれ、どこを読んでいたんだっけ?」と迷って時間をロスしてはいませんか?

計算問題を解くたびにその様に時間をロスしていたのでは、計算問題の数だけ時間のロスを生み出している事になります。

上に書いてあるように、右手でのブラインドタッチを習得すると、右手ばかりをよく使うようになり、いっぽう左手は空いた状態になりがちです。その空いている左手を有効に使いましょう。その空いた左手は、問題文の読みかけの部分を指さしておく習慣にすると良いと思います。「あれ、どこを読んでいたんだっけ?」とならずに、すぐに続きを読み始める事ができます。

定数計算を使いこなす

上に書いたカシオ製電卓の場合、定数計算機能といって計算の符号キーを2回連続して押すと、画面に「K」とされて、一定の数値に対して次々と演算をする事ができます。例えば「✕」「✕」と押すと、一定の数値に次々と繰り返し掛け算をする事ができますので、一定のレートでの為替の変換や原価率の計算などを省力化し、スピードアップする事ができます。

メモリーキーを使いこなす

メモリーキーは加減乗除混合の計算を行う場合に役立ちます。メモリーキーを使わない場合、数式をいくつかに分解して、部分ごとの計算結果をメモしながら計算するという方法が一般的だと思います。しかしメモリーキーを使うと、そのような手間を減らして、メモを取らずに計算できるケースを増やす事ができます。もちろん計算の時間短縮になります。例えば税額の計算の問題で特に役立ちます。

おすすめの書籍

時間の取れる人には、読んでおく事をおすすめしたい書籍があります。ここまで書いた事に関する詳しい説明や、それ以外の電卓の使いこなし方が書いてあります。内容的にやさしく、ちょっとした時間で読破できる本ですが、書いてある内容をマスターすれば効果は絶大です。

パブロフくんと学ぶ電卓使いこなしBOOK


パブロフくんと学ぶ電卓使いこなしBOOK説明画像






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