実務未経験者の強い味方

異業種から通関士に転身するのは

コロナウイルスの流行開始以来、業界全体レベルで雇用がメチャクチャになってしまったという産業もあります。年齢の若い人ならばポテンシャル採用という事で他の業種にすんなりと転身できる事例も多いでしょうが、一定の年齢になるとそうも行きません。一般的には即戦力になると期待できるような実績や経験が要求されますし、そういうものが無ければ、その代わりにその人を採用するメリットを何かしら感じさせるようなものが要求されます。

そこで通関士試験の合格証をなんとか頑張って取得して、今後はマーケットや雇用の縮小の危険が少ない貿易や通関の関連業界に転身を図ろうと考える人も一定数居るのではないでしょうか。私は個人的にはそういう考え方はよく理解できます。マーケットがシュリンクしている業界で仕事を探したり働く環境を維持したりするのは困難を伴いがちですが、マーケット全体が伸びている業界ではずっと働きやすいからです。

実務未経験者が独学を始めるにはハードルが

しかし通関士試験は、内容的にかなり実際に踏み込んだ出題が多く、通関業界や関連業界のの実務経験者の人ならばすぐにイメージできても、業界の門外漢で実務未経験の受験者にとっては、受験勉強をしていてなかなかイメージできないようなものが多く、苦労する場面が多い事でしょう。

例えばテキストにサラッと書いてあることがどういう事なのかさっぱり分からず、自分なりにイメージできるようになるまでに時間がかかり、テキストを何度も読み返さなければならなかったり、さらにはイメージする事を断念して仕方なく棒のように丸暗記するという手法に頼っているなど、具体的にはそういう苦労を多く経験してしまっているという心当たりが少なからずあるものだと思います。

しかしそのような、いわば高いハードルを繰り返し超えるような状態で受験勉強を続けていても明らかに不利なので、なんとかしたいものです。

ハードルが気にならないレベルへ

実はその状態をかなり解消できるものがあります。それはこの本です。



改訂2版 「通関士」合格の基礎知識

表紙を一見するとよくある通関士試験のテキストの様に見えてしまいますが、内容はまったく異なる本です。

通関業務の実務的な部分に関して、一般の通関士テキストよりもずっと敷居を下げて、予備知識が全くない人でも話が通じるように書かれた、エッセイ感覚で読めるような読み物です。文字数はあまり多くありませんので、読書に慣れている人ならば1日で読み切れてしまいます。

これを一読すると、業界関係者でないとなかなか知る事のできない様な実務の目的や各国の国益追求のための思惑などがかなり理解できます。そのあとで通関士試験のテキストを読めば、書いてある内容に関して格段にイメージしやすくなり、飛躍的に読み進みやすく、そして理解しやすくなります。

著者は通関士試験の受験指導における第一人者なのですが、よくある受験指導の教育者が書いた、肝心な部分がフワッとごまかされたような本ではなく、十分なリサーチにより地に足の付いた説明で、取り扱う題材自体もかなり吟味されており、高い満足感が得られるコンテンツです。同じ著者による貿易に関する入門書は他にもあり、いずれも良書ですが、通関士試験の受験準備として読むには内容的にこの本がベストだと思います。受験勉強中はただでさえ時間が貴重なので、良書であるとはいっても何冊も読み物を読むのに時間を使ってなどいられないという事もあるでしょう。

実は私自身も実務未経験の状態で受験にチャレンジしていたので、はじめは相当苦労していたのですが、この本を見つけて読んでから、一気に受験勉強がラクになりました。私は結構勉強を進めて、試験日がだいぶ近づいてからこの本を読んだのですが、それでも大きな効果がありました。もっと早くこの本の存在を知っていたら、と悔しく思ったものです。

実務未経験で苦労している受験者には、ぜひともお薦めしたい強力な一冊です。



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