輸入許可後のRCEP協定税率の遡及適用

過去問題の解説

令和4年「通関書類の作成要領その他通関手続の実務」第3問

選択肢2.地域的な包括的経済連携協定(RCEP協定)の規定に基づき当該協定の原産品とされる貨物に係る納税申告をした者は、当該貨物について、当該協定の規定に基づく関税の譲許の便益の適用を受けていない場合において、その適用を受けることにより当該納税申告に係る納付すべき税額が過大となるときは、当該貨物の輸入の許可の日から 1 年以内に限り、税関長に対し、当該納税申告に係る税額について更正の請求をすることができる。

→誤り

RCEP協定税率に関する、なかなか細かくて難易度高めの出題だと思います。RCEP協定文では第3・23条でこの取り扱いについて規定しています。1項は、各条約国が自国の法令に従ってこの選択肢のような超過分の還付を申請できるよう定める事としています。2項は、各条約国は1項にかかわらず輸入の時に特恵待遇適用の申請を求める事ができる、としています。日本の場合は2項を活かし、1項のように遡って超過分の還付を申請することはできないとしています。

ただし、輸入時に原産地証明などが用意できず、特恵待遇適用の申請ができないという場合は、許可前引き取り制度(BP)を使って、原産地証明書を後日提出して申告するという方法が認められます。

では、更正の請求を行って還付請求を行う場合にはどんなケースなのかというと、例えば

  • 統計品目番号が違っていた
  • インボイスの金額が誤っていた
  • 到着した貨物とインボイスの数量が異なっていた
などの場合です。RCEPの特恵の場合と更正の請求をする場合と、両者を対比しながら覚えると混同にしくく、効率良く覚えられるでしょう。

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